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実務

「元本減少割合」とは何か——取得価額調整と確定申告の要点

2026-07-03 / 読了 7分 / 編集部

2026年4月以降、利益超過分配を行うSTの保有者には新しい税務実務が発生した。分配のたびに公表される「元本減少割合」の意味と、投資家が実際に行う計算を実例で整理する。

元本減少割合の意味

利益超過分配が行われると、信託の1口当たり元本が一律に減額される。このとき「元本がどれだけの割合で減ったか」を示すのが元本減少割合で、アセットマネージャーが分配のつど公表する。商品側の計算は全受益者に同じ割合が適用されるためシンプルだが、税務上の計算は投資家ごとに異なる——各自の取得価額がバラバラだからだ。

投資家が行う4ステップ

利益超過分配(元本の払戻し)を受け取った投資家は、税務上「保有分の一部をみなし譲渡した」ものとして扱われる。計算は4ステップで、(1)譲渡収入=受け取った払戻額、(2)譲渡原価=自分の取得価額×元本減少割合、(3)その差額が譲渡損益(申告分離課税)、(4)取得価額を譲渡原価分だけ減額して次回に持ち越す。

数値例を挙げる。募集で1口100万円で取得した投資家が、元本減少割合1%・払戻し1万円の分配を受けた場合、譲渡原価は100万円×1%=1万円なので譲渡損益はゼロ。取得価額は99万円に更新される。一方、同じ銘柄をセカンダリー市場で95万円で取得した投資家は、譲渡原価が9,500円となり譲渡益500円が発生する。同じ分配でも投資家ごとに課税結果が異なるのはこのためだ。

口座区分で変わる実務負担

源泉徴収ありの特定口座では、証券会社のシステムがこの再計算と取得価額の調整を自動で行うため、投資家の作業は基本的に発生しない。注意が必要なのは源泉徴収なしの特定口座と一般口座で、元本の払戻しがあった年は確定申告が必要になる。確定申告に使う元本減少割合は各商品のアセットマネージャーのウェブサイトで公表される運用が始まっており、対象銘柄の保有者は分配通知と合わせて確認しておきたい。

複数回の分配を受けた場合は、取得価額の減額を累積で追跡する必要がある。取得時期・取得価額・各回の元本減少割合を記録しておくことが、翌年の申告を楽にする最良の備えになる。

SOURCES / 出所

本記事は制度・実務の一般的な解説であり、特定銘柄の推奨・投資助言ではありません。個別の税務判断は税理士等の専門家にご確認ください。

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